アカハネ通信

アカハネ保険事務所のブログ

第95回都市対抗野球第2次予選北信越大会は最終日の9日、富山市民球場で決勝を行い、FedEx(塩尻市)は5-8で伏木海陸運送(高岡市)に逆転負けを喫し、初優勝はならなかった。初回に3点を先取したが2回に同点とされると4回に3点勝ち越され、逃げ切りを許した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エース金井真っ向勝負も及ばず

 

4回、4-5と勝ち越しを許しなお2死一塁。FedExの片山祐介監督は金井貴之を3番手としてマウンドに送った。相手は4番の牧田龍輝。これ以上リードを広げられないため、本来は終盤を託すエースを投入した。「守りでリズムをつくる」。背番号18は流れを引き戻すため、まず最も自信のある速球を投げ込んだ。だが、143㌔を表示した投球は左中間芝生席に運ばれ2点を追加された。しかし、まだ中盤。「悔いはない。いいところにいった。牧田を褒めるしかない」と切り替えた。5回に味方打線も1点取り返すと、1個ずつ丁寧にアウトを重ねスコアボードに3イニング連続で「0」を並べた。そして、5-7のまま迎えた8回2死二塁、牧田の打順で片山監督は守備のタイムを要求。「勝負に行け!」と背中を押した。弾みをつけて9回の攻撃に移るため、金井は全力投球。2-2から外角に直球を投げ込んだが、右前に合わされて駄目押し点を奪われた。

「甘いところには行っていない」。真っ向勝負は自身のスタイルとあって潔かった。ただ、30歳のベテランとして「下の子たちにいい経験をさせてやりたかった」と後輩たちを思いやった場面は声を詰まらせた。

金井の入部は、3年連続で秋の日本選手権出場を果たした2017年。以降は低迷期に入り、都市対抗予選は県大会敗退の屈辱も味わったが1、2年目の若手中心で臨んだ今回は県3位から初の決勝進出。大舞台を狙える力があることは示した。次の目標は9月下旬の日本選手権最終予選北信越大会(佐久市)。「今のチームなら(全国に)行ける」。苦い敗戦の中で得た手応えを胸に、社会人8年目の右腕は仲間たちと鍛錬の夏に向かう。

▽決勝

FedEx

310 010 000-5

130 300 01X-8

伏木海陸運送

F 野口、山登、金井-釣谷

伏 西川、西納-幸明

🉀牧田(伏)

 

 

 

上田西出身の荒井が伏木の3年ぶりVに貢献

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伏木海陸運送の荒井朋範が魅せた。50㍍5秒9の快足を武器に上田西、新潟医療福祉大時代から活躍してきた外野手は「1番・中堅」で先発。3点を先取された直後の初回は追い込まれてから中前打で出ると1死二、三塁から牧田の一ゴロで還り追撃ムードをつくった。2回は2死一、二塁から初球を迷わず叩いて一、二塁間を破る適時打。さらに二塁に進むと3番・木村俊輔の右前で同点の生還。8回は無死から四球をもぎ取ると二塁盗塁を決め、2死から牧田の右前打で駄目押しの8点目を記した。

1年目の昨季、チームは日本選手権出場を果たしたが自身は出番がなく奮起。「社会人はレベルが高い。力不足だった。1球の重みを感じながら練習してきた」。持ち前の積極性を磨いて2年目を迎え、リードオフマンとなった。迎えた地元での第2次予選北信越大会。大事な決勝で、2安打1打点1盗塁3得点と気を吐いた。

都市対抗は昨夏、補強された先輩の応援で観戦。「会場の雰囲気、歓声が凄い。あの場所でプレーしたい」と憧れを抱いた。1年後、努力は実り、自身が東京ドームに立つチャンスを得た。「きょうと同様、1番で初回に出塁し、先制点を踏みたい」。チームの初勝利のため、北信越の韋駄天として社会人の聖地を駆け回るつもりだ。

第95回都市対抗野球大会第2次予選北信越大会は2日目の8日、富山市民球場で準決勝2試合が行われた。FedEx(塩尻市)は3-2でIMF BANDITS富山(富山市)に逆転サヨナラ勝ちし、初優勝に王手。千曲川クラブ(小諸市)は0-10で伏木海陸運送(高岡市)に敗れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9番・河野がFedExを救う激弾

 

 

よもやの一撃だった。1-2で迎えた9回2死二塁、9番・河野真大が2球目を右翼芝生席に打ち込んだ。敗色濃厚の瀬戸際で飛び出した逆転サヨナラ勝ちを呼ぶ2点本塁打。歓喜の輪に包まれたヒーローは「何を打ったのか覚えていない。入るとは思わなかった」。8回2死二塁の守備では右翼手として二塁手と自身の間に飛んだフライを適時打とし、「目の前に落とした。自分のせいで負けたくなかった」と燃えていた4打席目だった。横浜隼人、国士館大を経て加入1年目。守備力を評価して起用した片山祐介監督は「つながることを求めていた。まさか。(ミスを)取り返せるのが野球。彼のお陰です」と興奮を隠せなかった。第1次予選県大会は3位通過だったが前日7日の1回戦で県1位の信越クを6-3と撃破し、この日は劇的白星だ。勢いを加速して挑む決勝の相手はまたも富山勢の伏木海陸運送。敵地で1998年の結成以来初の東京ドーム切符をつかみ獲る!

▽準決勝

IMF BANDITS富山

000 000 110-2

000 000 012ⅹ-3

FedEx

B 五味-須藤

F 野口、山登、小林、金井-釣谷

🉀河野(F)

 

千曲川クは完敗をバネにクラブ選手権予選に向かう

立ち上がりから劣勢に回った苦しい展開で、戻ってきた左腕が必死に伏木海陸運送打線に立ち向かった。0-4とされなお3回2死一、三塁。2番手で登板した名取泰誠は一人目に死球を与えて満塁としたが2人目は一ゴロで切り抜けた。だが、4回は1失点とリードを広げられ、「流れを変えなきゃいけないところだった。うまくいかなかった。相手が上だった」と2回三分の一1失点の投球を振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東海大三(現東海大諏訪)、BC信濃を経て21年から2季に渡って先発、救援で活躍も、「気持ちがドキドキしなくなった。もう熱がないのかな」と退団。昨季は勤務先の軟式野球部でプレーしていたが、9月に新潟県で開催された全日本クラブ野球選手権が転機となった。インターネットの速報で古巣の戦いをチェックしていると、準々決勝でその前年に自身が先発して敗れたV候補・大和高田クに雪辱したのだ。「感動」して、佐久市から三条市の球場まで車を飛ばしその日の午後の準決勝を観戦。「こいつらかっこいいな」と血が騒ぎ、復帰を決めた。

都市対抗は逃したが落ち込んでいる時間はない。22、23日には全日本クラブ野球選手権第2次予選北信越大会が石川県で開催されるのだ。「クラブ選手権は優勝しかないです」。この日突き切れなかった内角をどう攻めるか。経験豊富な27歳は、クラブ日本一に向かって悔しい結果を肥やしにする。

▽準決勝

伏木海陸運送

301 100 014-10

000 000 000-0

千曲川ク

伏 西納、高橋-幸明

千 井関、名取、本多、井崎、和田-永田皓

7日開幕都市対抗野球第2次予選北信越大会 

千曲川クの仕事人、12年目の伊志嶺が初の東京D切符獲りに燃える 

第95回都市対抗野球第2次予選北信越大会は7日から富山市民球場(アルペンスタジアム)を主会場に開催される。1枚の東京ドーム切符を目指し、8チームが火花を散らす3日間のトーナメント。県第2代表・千曲川クラブ(小諸市)のベテラン、伊志嶺大地外野手(34)はポイントゲッターとして貢献を期している。 

 

5月18日、都市対抗野球第1次予選県大会準決勝「FedEx-千曲川ク」5回、2点三塁打を放った千曲川ク・伊志嶺は白煙の中でガッツポーズ

社会人で白球を追う男たちが最高峰の舞台に立つための3日間が近づいてきた。伊志嶺は「一生懸命チームのために、出されたところで頑張る。現役の間に都市対抗の本選に出る。そうすれば心置きなく辞められる」と決意を口にする。

故郷・沖縄では「伊志嶺3兄弟」と知られる野球一家の末っ子。現在、長兄・大吾さんは3人の母校である沖縄尚学で野球部副部長、次兄・翔大さんはロッテの2軍コーチを務める。伊志嶺自身も高校3年春のセンバツではエース東浜(現ソフトバンク)を「2番・右翼」で支え、全国制覇を経験している。

輝かしい球歴を持つ南国育ちの男が、信州で暮らして12年目を迎えた。2歳上の翔大さんを追いかけて強豪・東海大に進学し、4年時には沖縄の企業チーム入りの話もあった。だが、「戻ったら駄目になる。違うところで勝負してみたい」と断り、あえて厳しい道を模索。当時の横井監督から紹介されたのが、廃部したTDK千曲川のOBが結成準備中の千曲川クだった。中心メンバー、赤羽代表の国際武道大時代の恩師・岩井監督が東海大監督だった縁に導かれた。同代表の家業の保険代理店で営業マンとなり社会人生活をスタート。初めての土地でもあり当初は「3年」を区切りと考えていたが、1年目で全日本クラブ選手権出場を果たすと「西武ドームで試合ができた。うれしかった」と感激し、仕事との両立を求められるプレーに熱が入った。その後は人生の伴侶を得て、今や小学1年を頭に3児の父。「子どもたちに(プレーする姿を)見せたい、物心つくまでやりたい」と新たなモチベーションも加わった。

チームの成績も伸び、クラブ選手権は8度出場し2度の準優勝、企業チームと戦う都市対抗も北信越大会で3度準優勝し全国舞台を視野に捉えている。ベテランの域に達し、1、2番が多かった役割も変化。先月、北信越切符を懸けたFedExとの県大会準決勝は「6番・左翼」で先発。2点を追加して4-0としなお5回2死一、二塁、追い込まれてから4球ファウルした後の甘くなった9球目を仕留めた。「自分でもびっくりした」という右越え2点三塁打となり、7回コールド勝ちへの流れを加速。健在ぶりをアピールした。

30代に入り、故障が増えてきた。今季は全体練習前に自主的にポール間ダッシュを加え、子どもと遊ぶ際も体づくりを意識している。「スピード、切れは衰えている。シンプルが一番。無駄な動きをなくしてコンタクトするだけ」と打席での意識も変わった。

東京ドームは、全日本大学選手権でプレーしているが、都市対抗は別もの。補強された仲間の応援で足を運んだ際に「あの場所でやってみたい」と独特の熱気に魅了された。「あの緊張感があるから辞められない」。負ければ終わり。一発勝負の社会人野球にどっぷり漬かった34歳。北陸・富山の陣は新潟コンマーシャルとの1回戦から始まる。

◇伊志嶺大地(いしみね・だいち)1990年(平2)5月24日生まれ、沖縄県宮古島市出身の34歳。1㍍70、72㌔。右投げ左打ち。アカハネ保険事務所取締役本部長。佐久市在住。