社会人野球の第48回全日本クラブ選手権は31日、群馬・太田市運動公園野球場ほかで開幕し、1回戦が行われた。5大会連続9度目出場の千曲川ク(北信越・小諸市)は1-7で2大会連続12度目出場のマツゲン箕島(近畿・和歌山)に敗れ、初戦突破はならなかった。
▽1回戦
千曲川ク
001 000 000―1
220 200 10X―7
マツゲン箕島
(千)井関、名取、和田、村松―永田皓
(箕)奥田、坂本―藤田幸
🉀中山(箕)
5度の優勝経験を持つ強豪の壁は厚かった。大会前の練習試合で近畿の企業チームと互角に渡り合った実力は本物で、序盤から攻守で圧倒される苦しい展開。それでも途中出場した選手たちが精いっぱいのプレーで対抗した。
7回だ。1―7とされ、なお1死満塁。1点取られればコールド負けのピンチで村松遥翔が4番手で登板した。上田千曲から大産大を経て故郷のクラブチームに加入して2年目の右腕にとってこれが初の全国舞台。「焦ってしまった」と3-1とカウントを悪くし押し出し四球寸前に。だが、そこから「割り切って、勝負。全部真っすぐでいく」と開き直ったことが吉と出て、4番を浅い左飛、5番は右飛で切り抜けた。続く8回は先頭を左前打で出したものの投前バントを素早く処理して二封、さらに遊ゴロ併殺で無失点救援。「来年につながる投球ができた。収穫」。気迫を込めた13球に手ごたえを得た様子で「チームを引っ張っていく投手になりたい。できたらアタマ(先発)で」と意欲を見せた。
打線も3回に敵失で1点返したものの、9回2死まで安打がなかった。追い込まれた場面で登場したのは、途中から左翼に入った木下裕揮。BC福井から加入して4年目のスイッチヒッターは「自分で終わりたくなかった。後ろにつないで。(チームは)フライが多かったので、とにかくゴロ。強い打球を打とう。そこだけ意識していた」。7回無死一塁の第1打席では、自身も生きて好機を広げようとセーフティーバントを敢行(記録は投犠打)。常に考えている男は、二遊間にゴロを打つと気迫のヘッドスライディングで「H」ランプを点灯させた。
平林竜也監督は「鍛え直しです。完敗」と真正面から受け止めた。
マツゲン箕島は昨年の2回戦で2安打で敗退した悔しさをバネに出場している。千曲川クの1年後に注目だ。