秋季高校野球県大会は最終日の29日、県営上田球場で3位決定戦(代表決定戦)と決勝が行われた。3位決定戦は長野商(北信1位)が加藤佑都の投打にわたる活躍で上田西(東信2位)を4-1と倒し、2016年秋以来の北信越大会出場を決めた。松本市内勢同士の顔合わせとなった決勝は松本第一(中信1位)が1―0で松本国際(中信3位)を破って16年春以来、秋は初の優勝を飾った。来春のセンバツにつながる北信越大会は10月12、13、19、20日に石川県で開催され、組み合わせは10月3日に決まる。
▽3位決定戦
長野商 030 100 000―4
上田西 100 000 000―1
(長)加藤―野口
(上)百瀬、内藤―高橋知
🉀加藤(長)
27個目のアウトを右飛で奪うと長野商の大黒柱が初めて感情を爆発させた。北信越最終切符を懸けた3位決定戦で上田西を撃破。8年ぶりの代表を決めた立役者は、加藤だった。22日の2回戦、25日の準々決勝、そして前日28日の準決勝と一人で投げ抜いてきた背番号1。3試合412球を投じてきた疲れを見せることなく当然のように先発すると課題の初回に先制点を奪われたものの、以降は追加点を許さず135球で7安打1失点で完投。準決勝の1番から9番に下がった打撃ではスクイズで追いついた直後の2回2死二塁で左越えに公式戦初、高校通算5本目となる勝ち越し2点本塁打を打ち込んだ。
打者一人一人を観察しながらリードした捕手の野口倫太郎主将は「疲弊している中でミットに向かって投げてくれた。尻上がりタイプ。終盤につれて気持ちが高まっていった」とたたえた。
力投のエースを一丸となってバックが支えてつかんだ勝利。その象徴が5回。無死一、二塁のピンチを招くと、野口は「併殺。ゴロ飛ぶぞ」と内野に声をかけた。3番打者をスライダー2球で追い込み、直球を見せた後のスライダーで狙いどおりの三ゴロ併殺。なお2死二塁から4番打者に一、二塁間を破られたが右―一―捕とつないだ返球で二塁走者の生還を阻み、流れを渡さなかった。
試合後の加藤は「まだ試合中。疲れはまだ来てない」と語った。県大会の全4戦を投げ抜けたのは、夏の悔しさがあったから。背番号6ながら投手陣の柱として進撃を支えたが準々決勝で力尽き、赤穂に1―9と大敗。その反省から授業の合間の補食など食べる量を増やしてトレーニングに取り組み、「体づくりをやってきた」という。もともと食は細く線も細かったが、今では体重は3,4キロ増の72㌔になり、試合終盤まで集中できるようになった。
さあ、北信越だ。「(1回戦は他県の)1位と当たる。どれだけ通用するか。楽しみです」。クールな鉄腕は2週間後の北陸の陣に視線を向けた。
▽決勝
松本国際 000 000 000―0
松本第一 000 100 00X―1
(国)市川、和田、小林―荻田、広瀬
(一)川合―福沢
目指す「守りの野球」に立ち返った松本第一が理想の試合展開で初めて秋の頂点に立った。準決勝はまずい守りから0―7と大差をつけられてからのミラクル逆転勝ち。田中健太監督は「もう一回やってきた野球をやろう」と呼びかけた。毎試合後重ねてきた強くなるためのミーティング。「ランナーを出しながら、大崩れしない。最後まで粘り強く」の方針を再確認したナイン。この日は、準決勝は終盤2㌄だけの登板で消耗していなかったエース川合大雅がテンポよく低めにボールを集めて打たせて取る投球。バックも丁寧にボールをさばいてアウトを重ね、4回に4番・鈴木麗司の中前適時打で奪った1点を守り抜いた。
わずか82球で4安打完封の川合は「70、80点。満足できない。目標はセンバツ。北信越では球数少なく、自滅しないこと。仲間を信じて自分が全部抑える」。夏の初戦敗退から始動したチームは県内で唯一、今秋無敗の進撃を続ける。歩みを止めることなく、松本第一らしく春夏通じて初めて甲子園へ白星を積み重ねる!