アカハネ通信

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 社会人野球球のJABA長野大会は23日、佐久総合運動公園野球場ほかで開幕し、1次リーグCブロックの信越ク(長野市)はYBSホールディングス(兵庫)に5-7で敗れ、黒星発進となった。

5回、右中間本塁打を放った信越ク・永井が本塁へ

 

 ▽1次リーグ

YBS(1勝)

000 041 002―7

000 010 004―5

信越ク(1敗)

(Y)柳原、山川―平石

(信)佐藤、加藤、大沢―斎藤

🉀永井(信)

 

 

 意地の一撃が右中間芝生席に飛び込んだ。4点を先取された直後の5回裏2死走者なし。信越クの6番・永井敦士はカウント1―2から甘く入ったチェンジアップを仕留めた。これが相手の先発右腕からようやく放ったチーム初安打で、初得点を記す本塁打となった。

 中堅手として直前の守備で適時失策を犯していた。2点を奪われなお2死一塁。正面のライナーに飛び込んだが後ろにそらして打者走者まで生還を許し、差は4点に広がった。「チームも個人も痛かった」。ミスをバットで取り返すべく向かった第2打席は「(ストライクゾーンは)外に広い。やることやろう。絶対に初ヒットを出す。内角は死球でもいい」。悪い流れを変えるため出塁にこだわっていたが、センターからライトに吹く強い風にも助けられ、最高の結果となった。

 25歳の新加入選手。50㍍5秒8の俊足好打の外野手で、4番を打った二松学舎大付(東京)からドラフト4位で広島に入団もケガもあって4年で戦力外。22年からJPアセット証券(東京)で営業マンをしながらプレーしたが昨年11月に休部の憂き目に遭った。それでも野球への情熱は衰えず、高校時代の市原監督が前身のNTT信越OB、JPアセット証券の堀内コーチも信越クOBだった縁で、この日先発した左腕・佐藤と一緒に移籍してきた。

 長野朝日放送で働きながら白球を追う新生活。「社会人だったら、2大ドームに出たい」。まだ未経験の都市対抗、日本選手権の大舞台で暴れることが目標だ。信州でのデビュー戦は4打数2安打2打点1失策。きょうの24日の三菱重工East(神奈川)戦も負けると敗退が決まるだけに、攻守でさらなる活躍が必要だ。

(スポーツライター・高地浩志)

 

 

 国学院大人間開発学部准教授の神事努さんが15日、諏訪市文化センターで故郷の高校野球発展のためひと肌脱いだ。県高野連の監督研修会に講師として招かれ、「スポーツ科学で支える野球指導~データで導く個別アプローチ~」と題し、約90分にわたって講演した。

 大町市出身で、大町(現・大町岳陽)高時代は3番・捕手の主将として活躍した元信州球児。中京大から同大の大学院に進み、研究者となった。元国立科学センター研究員で、「投球動作のバイオメカニクス的分析」の第一人者として知られる。08年北京五輪で日本女子ソフトボール代表の金メダル獲得に貢献。14年に創業した、内外の野球チーム、プレーヤーにデータ解析システムを提供する「ネクストベース」で上級主席研究員を務める。県を挙げて強化に取り組む秋田でも13年前から高校球児を支援しており、18年夏に金足農高が剛腕・吉田輝星(現・オリックス)を軸に甲子園で準優勝。NHKBS「球辞苑」にも出演と精力的に活躍の幅を広げている。

 今回の講演が実現したのは野球が取り持つ縁だった。実は高校時代の監督が、県高野連の久保村智会長。今季就任した寺沢潤一専務理事は同じ中信地区・松本蟻ケ崎高で1学年上の主将・捕手で対戦経験があり、中京大で同窓となり交流があった。県高野連は、3年後に県内で開催する国スポに向け、競技力向上に取り組む。最も重視しているのが投手力向上で、協力を要請したのがなじみのある信州出身の気鋭の研究者だった。

県内の監督たちにスポーツデータを活かした実践的指導の意義を訴えた神事さん。続きは11月下旬、加盟各校の投手一人ずつのデータを取り、その日のうちにフィードバックする。県高野連は来年度以降も事業を継続していく方針で、大舞台で上位進出がない県勢が科学的アプローチでどう変わっていくか。今季最初の講義を休講にして諏訪に駆けつけた熱い思いが、信州の高校野球を高みに導く。

(スポーツライター・高地 浩志)

 

 

姿勢で引っ張る石渡新主将

 

 社会人野球の千曲川クラブは11日開幕のJABA富山大会(富山市民球場)で2025年の公式戦が始まる。引退・退部で14人がチームを去り、新たに12人が加入し、今季も選手だけで35人の大所帯。新主将の重責を担う石渡大成内野手は「チームをまとめる力はない。しゃべれないですし、姿勢で引っ張るしかない」と背伸びせず、これまでのキャリアを生かしながらけん引していく決意だ。東京都出身。東海大甲府(山梨)から進学した国際武道大(千葉)でも主将を務め170人もの部員を束ねた経験を持つが、「学生時代はひと言声をかければ向いてくれた。社会人はいろいろ経験した選手がいる。仕事もあってまとめるのは難しい」と違いを十分に承知。それぞれの職場で仕事をしながら白球を追う者が集まるクラブチームの宿命を肝に銘じ、「副主将と話し合いながら、選手間の意見を取り入れていきたい」と前を向く。

 社会人9年目。選手としても新境地を開く。扇の要として活躍してきたが膝の状態が思わしくなくここ2年は控えに甘んじていた。昨季からは、台所事情に加えて勝負強い打撃を生かすため、高校時代に経験した内野手にチャレンジ。今季は、「新しいことに挑戦しつつ、視野も広げたい」と西武入りした大砲・古賀輝希の後を継ぎ「4番・三塁」で出場している。打線の中心的ポジションとなるが、3、5番を打っていた豊田航平、5番・新井仁盛の主将経験組も引退したことでクリーンアップは総入れ替え。「絶対的な中軸がいなくなった。長打はない。いかにノーヒットで点を取ることが大事になってくる。自分は、4番目。後ろにつなぐ。どの選手も打順関係なく同じ意識でやっている」とつなぎの打線の象徴として役割を全うしていくつもりだ。

 チームが目指しているのは、東京ドームで開催される都市対抗と京セラドームで開催される日本選手権の初出場。都市対抗は北信越予選準優勝3度、日本選手権は最終予選の全日本クラブ選手権準優勝2度と計5度あと1勝で泣いた歴史があり、「2大ドーム出場」は、まさに悲願だ。石渡主将もそれぞれの決勝で最後の打者となった経験が1度ずつあり、懸ける思いは強い。8月には31歳となるベテランは「うちは守りメーンに取り組んでいる。目の前の試合にしっかり勝っていきたい」。野球に理解のあるナガオカ製作所で働きながら、副主将の圀府寺輝外野手、花岡大輔内野手と手を携え、一戦必勝で今季こそ社会人選手憧れの地に立つ!

(スポーツライター・高地浩志)