アカハネ通信

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今秋の社会人野球日本選手権への出場権を懸けたJABA長野大会は8日、長野オリンピックスタジアムほかで開幕し、1次リーグが行われた。Aブロックの信越クは都市対抗覇者・三菱重工East(神奈川)に2-5と敗れ、黒星スタートとなった。

3回、信越ク・伊藤が左越え適時二塁打を放つ

▽1次リーグ

信越ク(1敗)

001 000 001-2

020 002 10X-5

三菱重工East(1勝)

信 佐渡、荻原、工藤-原

三 池内、畠中、川和田、森-碓井

信越クが日本一軍団に食い下がった。2点を先取された直後の3回。内野ゴロ2個で2死となったが1番・樫山瑠が右翼線二塁打で出塁した。続く伊藤駿は2-1からの4球目を強振。「パワー不足。入ったと思った」という一打は左翼フェンス直撃二塁打となり、1点差に追い上げた。

日大国際関係学部から入部した社会人1年生。「きのうから対戦が楽しみだった」と 先月の都市対抗で優勝した強豪との対戦を心待ちにしていた。初回は内角直球に差し込まれ二飛。好機で巡ってきた第2打席は、変化球に手を出さず狙っていたその内角直球をしっかりと仕留めた。

だが、2本目の安打を打たせてくれないのが一流チーム。その後は警戒されて「低めの変化球を振らされた」と空振り三振、三ゴロに倒れた。静岡学生リーグでベストナインに2度輝いた内野手で1年目から要の遊撃を守る。打順も6月の都市対抗予選の9番から2番に上がり、チーム内での評価は高まっている。警備会社での仕事と野球を両立させている23歳は「自信があるのは守備。目標は日本一」。さらなる成長を期して、負ければ敗退となるきょう9日の日本製紙石巻(宮城)戦に臨む。

仙台六大学野球の春季リーグで二人の県関係4年生選手が輝きを放った。長野吉田から東北大に進んだ植木祐樹外野手は打率・441で初タイトルとなる最高打率賞、佐久シニア出身で東北学院大の小林三邦遊撃手(鶴岡東出)は12盗塁で初の最多盗塁賞を獲得。ともにベストナインに名を連ね、確かな存在感を示した。

初の首位打者に輝いた植木(本人提供)

初タイトルを誇示する植木(本人提供)

長野吉田出身・植木(東北大)は首位打者

植木はハイレベルの文武両道で積み上げてきた取り組みを最終学年で初タイトルにつなげた。名門・東北大の経済学部に在籍しながら白球を追いかけ、3年秋から主力となると今春は主に「3番・右翼」でけん引。全10戦で34打数15安打(2二塁打、1三塁打)と打ちまくり、ただ一人4割越えとなる打率・441のハイアベレージを残した。文句なしで最高打率賞を射止めてベストナインに選ばれ、「獲れると思ってなくて、うれしい」と振り返る。

小中とも軟式野球チームに所属し、高校も地元の進学校・長野吉田へ。広角に打つ技術に加えてパンチ力も兼ね備え、1年秋から4番に座った。「自主性を大切にする、高校の3年間で基礎を学べた」。二人一組になっての走塁研究など、選手同士で考え合いながら技量を上げ、勝利を目指す活動が肌に合い野球への興味が増した。3年夏はコロナ禍で甲子園につながらない代替大会。2回戦で前年覇者・飯山に敗れたものの、プロ注目の本格派右腕・常田の速球に力負けせず意地の中前打1本を放った。それでも「不完全燃焼」。学ぶ楽しさもエネルギーに超難関国立大に現役合格を果たすと迷わず野球部の門を叩いた。

各学年10~15人程度の東北大野球部は学生主導。高校時代の延長ですぐ溶け込めたが、仙台六大学リーグは幾多のプロ選手を輩出している東北福祉大を筆頭にレベルの高さは全国屈指だった。「140㌔は当たり前」の剛腕が目白押しの投手たちを攻略するため「試行錯誤」を続けた。体づくりの必要性を感じてボディビル部に在籍し、こちらは2,3年とインカレ出場。焼き肉店に加え、スポーツジムでインストラクターのアルバイトも掛け持ちし、密度の濃い学生生活を送ってきた。成果の一端で、1㍍77の身長は変わらないが体重は入学時から10㌔増の76㌔に。逞しくなったのに加え、磨きをかけたのが「駆け引き」。常に「考えて打席入る」ことを大事にした上で、狙いを外されても対応できるように、より引き付け、コンパクトに打ち返し、安打量産につなげた。

既に就職も決まり、本格的にプレーするのは今秋で最後。「チームの勝ちに貢献したい」。春の5位からAクラス入りを狙う伝統校の安打製造機は、集大成のシーズンをにらみながら、さらなるレベルアップを期している。右投げ左打ち。

盗塁王の小林(本人提供)

佐久シニア出身・小林(東北学院大-鶴岡東出)は盗塁王

小林は新たな勲章を得た。1年春からベンチ入りし、主将の重責も加わった今春は「1番・遊撃」と攻守で引っ張った韋駄天だ。12盗塁で初のタイトルホルダーとなり、2年秋以来となる2度目のベストナインに選出された。「盗塁王を初めて獲れて前回より納得できる」と達成感をにじませた。

各年代で大舞台を経験してきた野球の虫だ。TDK千曲川で俊足の好打者としてならした父の薫陶を受け、小学時代は浅間スポーツ少年団で全日本学童軟式野球大会に出場し、中学時代は佐久シニアで全国選抜を経験。高校はシニアの先輩を追いかけて鶴岡東(山形)に進み、2年夏、交流試合となった3年夏と甲子園の土を踏んだ。内野手兼投手だったが東北学院大では内野の要で勝負してきた。

三拍子そろった好選手。50㍍6秒2で「足にも自信がある方だった」。昨年、巨人、西武で活躍したOBの星監督が就任するとチームで「走塁に力を入れてきた」ことも転機となった。出塁につなげる努力も実を結んだ。「追い込まれてから、当てて(ファウルに)逃げる」技術を磨き、今春はもぎ取った四球が11個で三振は3個だけ。簡単にアウトとならずに相手バッテリーに重圧をかけ、打率・353と気を吐いた。

春は3位だった。主将として「秋は神宮に行く。目指すのは優勝だけ。仙台大、東北福祉大をどう倒すか」。卒業後も「野球を続けたい」と願う自らの未来をも切り開くため、2強撃破を期している。1㍍75、73㌔。右投げ右打ち。

第48回全日本クラブ野球選手権第2次予選北信越大会は最終日の24日、石川県立野球場で準決勝、決勝が行われた。準決勝が不戦勝となった千曲川クラブは、決勝で新潟コンマーシャル倶楽部を10-1の7回コールドで退け、5大会連続9度目の全国切符を獲得した。4回に先制適時打を放った及川諒外野手が最優秀選手賞、7回に駄目押し2点本塁打を放った関洸司朗外野手が通算6打数4安打で最高打撃賞に輝いた。全国大会は8月31日から群馬、栃木両県で開催される。

V5に笑顔の千曲川ナイン

▽決勝

千曲川ク

000 223 3-10

000 100 0-1

(7回コールド)

新潟コンマーシャル

千 本多、名取、井関-永田皓

新 渡辺、五十嵐樹-久志田

🉀関(千)

最優秀選手賞の関(左)と最優秀選手賞の及川

社会人3年目の及川が千曲川クのベンチを覆っていた重い空気を一掃した。ゼロ行進で迎えた4回無死二、三塁。四球と犠打失策で築いた絶好機で6番の左打者は「甘いところに来たら振ろう」と気合十分だった。だが、初球はファウル。力の入りすぎを反省し、2球目の外角直球を素直に左前に打ち返した。「肩の力を抜いて、いい感じで打てた。ミスも絡んだチャンスだったので、1点取りたかった」と貴重な先制適時打を振り返った。

22日の1回戦は富山BCを16-1の7回コールドで退けたが前日23日は激しい雨で中止となり月曜日のこの日に順延。仕事と野球の両立を求められるクラブの宿命で準決勝の野田サンダーズ(新潟)は規定の選手15人を確保できずに棄権を余儀なくされ、千曲川クも一部の主力らがチームを離れた。不戦勝で決勝に駒を進めたものの、勢いは連戦の新潟コンマーシャルの方が上。それでも先発・本多将吾が序盤を踏ん張り、徐々にペースをつかみ出した矢先に破った均衡。これでチームは勢いに乗り、着々とリードを広げた。

決着をつけたのは7-1で迎えた7回。8番・永田皓一の左越え適時二塁打で7点差に広げると、台所事情でこれまでの9番から1番に抜擢された関が豪快に左越え2ランを叩き込み、駄目を押した。「内角ストレート。張ってました。完璧でした。前半、点取るまで緊張してましたが、積極的に振れた」。実はコーチとしてベンチしている父・勝宏さんの57歳の誕生日とあって、社会人7年目の右打者は「良かったです」。最高打撃賞も確定した記念のボールをプレゼントした。

北信越で群を抜く実力を見せつけた千曲川ク。次の目標は8月末に始まる全国大会だ。初のMVPに選ばれた及川は「まだ優勝したことがない」と、過去2度の準優勝を越える初の頂点に照準を合わせる。クラブ日本一となれば晩秋の京セラドーム大阪で開かれる日本選手権切符が手に入る。大阪出身とあって、「家族や知り合いに見に来て頂けるように練習したい」。野球での里帰りを果たすため、さらなる飛躍を期して夏に向かう。