都市対抗野球第1次予選県大会が30日、長野オリンピックスタジアムで開幕する。6月下旬に同会場で開く第2次予選北信越大会に進む3チームを決めるトーナメントで、千曲川ク(小諸市)は予備戦の5月上旬の高山久男杯を2位通過し第2シードで登場。注目は投打の新戦力、森井文哉投手と長島成汰外野手だ。

期待の左腕・森井
森井は山形村出身の左腕で26歳。松本工、山梨学院大を経てBC信濃に入団したが結果を残せず、その後移籍したハナマウイ(千葉)に2シーズン在籍。「地元で野球がやりたい。地元のチームで都市対抗に出たい」と故郷に戻ってきた。今季は大学時代に経験があった中継ぎ役を務めてきたが、5月17日のIMF BANDITS富山戦(1―7で負け)で初めて先発に起用されると4回3安打1失点と試合をつくった。最速142㌔をマークした重い球質の直球主体にグイグイ押し込み、2回に先頭の5番打者に初球の甘いスライダーを左翼芝生席に運ばれたものの四球は1個で課題の制球も及第点。走者を背負ってもしっかりと腕を振り、踏ん張った。
「先発したのは5年ぶり。自分でもびっくり」と、まっさらなマウンドで打者と対決するだいご味を久々に味わい、好感触を得た様子。保険代理店での修業を積みながら臨むビッグタイトルでいよいよ本領発揮だ。

新人ながら中軸を担う長島
長島は和歌山出身。和歌山東―日本経済大を経て加入した左打者は、昨季から入れ替わった中軸の一人となった。同じBANDITS富山戦に「4番・右翼」で出場。見せ場は1点を追う7回、無死から逆方向の左中間を破る二塁打で出塁すると石渡の右飛で三塁にタッチアップ、代打・川村の中前打で同点となる生還を果たした。
高校時代は1番を打ち、通算10本塁打。50㍍6秒の俊足と長打力を併せ持つことの証しだ。大学時代は右肩の故障で「準レギュラー」だったが、2年春には代走だけで福岡六大学の盗塁王に輝いた実績もある。大学の2年先輩、西武入りした前4番・古賀を追いかける形で信州へやってきたが、目指しているのはやはり「プロ」だ。不安要素だった送球はショートアームに変えたことで改善し、外野手での出場機会を得たことはチームにとってもプラス。佐久市の建設工事会社、信州工業で現場仕事を終えると、週2、3日は夜練習とジム通いの2部トレにも取り組む。「中距離ヒッター」を自認しており、「チャンスで一本出せる打者になっていきたい」。勝利を呼ぶポイントゲッターとして22歳のルーキーが暴れまわる!
(スポーツライター・高地浩志)