アカハネ通信

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練習で競い合う長聖の佐々木(左)と浜口

 19日号砲の全国都道府県対抗男子駅伝(7区間48㌔・広島市)で長野が前回タイムを上回る2時間16分55秒の大会新で初の4連覇、自らの持つ最多優勝回数を11に伸ばした。偉業達成に貢献したのが、昨年12月の全国高校駅伝で2連覇した佐久長聖高のWエース、浜口大和と佐々木哲(ともに3年)だった。

 浜口は昨年区間4位だった1区(7㌔)に今回も登場。トップをマークする好位置で冷静にレースを進め、残り500㍍で仕掛けて福島、宮城と先頭集団を抜け出すと最後は自信を持つラストスパートで宮城と3秒差の首位で流れをつくった。トラックでは国スポを制するなど世代トップを走っているものの駅伝の大舞台では区間賞と縁がなかった。都大路から集中力を切らすことなく高校最後の駅伝に臨み、見事「悔しい気持ち」を晴らした。徳島県出身。阿南・羽ノ浦中3年の全中1500㍍で2位と敗れ、望んで日本一厳しい長聖に越境入学し、注目のランナーに成長を遂げた。春からは中大で競技を続ける。箱根駅伝だけに注力せず、海外遠征、実業団との合宿が多い環境に魅力を感じての進学で、昨夏のU20世界選手権で入賞すらできなかったことで「世界でやり返したい」と、海を越えての活躍に照準を合わせている。

 5区(8・5㌔)に登場した佐々木は首位・福島と26秒差の4位でタスキを受けると攻めの走りで一気に首位奪回に成功した。2年前に高校の先輩・吉岡大翔が出した区間記録を20秒縮める23分32秒の圧巻の区間新で1分4秒の貯金を築き、高見沢勝監督も「優勝の決め手となった」と称えた。愛知県出身。愛工大名電中3年の全中3000㍍で2位と敗れ、こちらも故郷を離れた。その時の覇者が高校駅伝1区区間賞の千葉・鈴木琉胤(八千代松陰高)で、この日は同じ区間で火花を散らした。「特別な存在」と意識する相手との高校初対決にも14秒差で勝利をおさめて大会MVPに輝き、「高校3年間の集大成となるレースで有終の美を飾ることができた」と喜んだ。春からはともに早大に進学。ライバルと同じ釜の飯を食べながら切磋琢磨し、さらなる高みを目指す。

 

講演する森さん

 少年硬式野球の千曲ボーイズが19日、千曲市戸倉創造館で、日本一経験を持つ指導者に学ぶイベント「名将から君へ」を開催した。2010年の発足以来、次代を担う中学生球児の育成に努めてきた原知久監督が県野球界のレベルアップを願って初めて企画。第1部でこれまでOB4人が進学している全国区の強豪・浦和学院高野球部の前監督、森士さんが「甲子園を目指す野球少年に必要なこと」と題して講演。第2部では原監督を交え、来場者から事前に集めた質問に答えるトークショーを行った。

 森さんは東洋大卒業後、上尾高(埼玉)時代の恩師・野本喜一郎監督が礎を築いた浦和学院高で指導者となり、27歳から30年にわたって監督を務め春夏22度の甲子園出場を果たした。一発勝負のトーナメントで激戦の埼玉を勝ち抜くため、大事にしたのが「勝利を目指しながら、人間力を向上させること」で、「目標があって勝利を求めるには、明るく厳しくないといけない。目標が高ければ高いほど、自分を律する厳しさが求められる」と訴えた。座右の銘の4条件、やまびこ打線を育てた池田高(徳島)の蔦文也監督から学んだ「良い選手を育てる。良い指導者。良い環境。最後に一番大切なチームワーク」も紹介した。

 左腕・小島和哉(現ロッテ)らを擁して成し遂げた13年春の全国制覇につながった秘話も披露。11年の東日本大震災後、冬の被災地に在任中の11年間、ボランティアとして通い、津波で崩壊した町のがれき処理などを通して「仲間の大切さ、命の大切さを学びました。自分たちがいかに恵まれているか」と再確認。色紙に記していた「NEVER GIVE UP」の横断幕を多数の死者を出した被災地で見つけ、「勝者は常に諦めない、でなく、生きることを諦めてないんだ」と衝撃を受けた。「野球をやってて勝ち負けあるけど、命までは取られない。試合前に緊張するけど、大舞台だからこそ、野球ができることが幸せだよね。もっと楽しまなきゃね。応援してくれる人たちに勇気与えなくちゃね、そんな気持ちになれた。その経験を1年から3年間やった世代が初優勝した」と明かした。

 約1時間の講演の最後に、メッセージ。「人生は一生という時間をかけたドラマです。野球のゲームはそれを2時間に凝縮したドラマです。なので普段の生活感が色濃く出ている。生活のスピードがそのまま野球に出る。それは意識してください。野球で勝ちたいと思ったら、生活のスピード、生活感(が大切)。これって予知、予測ですから、そうやって考えてやってください」と、定員300人の会場をほぼ埋めた来場者に金言を残した。

千曲ボーイズの選手から花束を受け取る森さん

 第43回全国都道府県対抗女子駅伝(9区間42・195㌔)が12日、京都市で開催され、長野は2時間18分13秒で5位と健闘し、2020年以来5年ぶりの入賞を果たした。

 原動力となったのは昨年12月の全国高校駅伝で2年ぶりに優勝した長野東高勢で大学生、実業団勢を相手にしても一歩も引くことはなく、安定した強さを発揮した。高校駅伝で区間賞を獲得したのと同じコースの1区(6㌔)に再び臨んだ真柴愛里(2年)はトップが見える位置で冷静にレースを進めて区間2位と好走し、上位争いの流れをつくった。2区(4キロ)の今井玲那(1年)は区間9位でトップの京都と15秒差の4位と粘り、3位でタスキを受けた5区(4・1075㌔)の窪田舞(3年)は区間4位で順位をキープし、6区(4・0875㌔)の川上南海(1年)は区間賞の力走で2位へ押し上げ「未来くん賞」も受賞した。2度目の日本一のから3週間。精神的にも肉体的にも疲れは残っていたはずだが、4人そろってミスなく役割を全う。同校も率いる横打史雄監督は「前回の優勝後は(緊張感が)切れたところもあった。(今回は)頼もしさを感じた」とスケールアップを実感した様子だった。

 4区(4㌔)の名和夏乃子(エディオン)は区間9位、7区(4㌔)の中村柚音(中京学院大)は区間8位でまとめたものの、他の走者は直前のコンディション不良などの影響でもうひとつ伸びず、最終9区で後退し5位でフィニッシュ。チーム全体の状態から目標を初のメダルから3度目の入賞に下方修正し、落ち込みは折り込み済みとあって、横打監督は「これ以上ない結果。久々の入賞で良かった」と5年前の4位に次ぐ2番目の好成績を高く評価した。「来年は(このメンバーが)ほぼ残る。それぞれが課題を解決したうえで、メダルを獲りにいかないといけない」。19日の全国男子駅伝で4連覇を狙う男子との差も徐々に詰まっている。メダル圏内で勝負し続けられたことで得られた悔しさをバネに、悲願成就だ!