北信越高校駅伝は17日、大町市で開催され、県勢がアベック制覇した。女子(5区間21・0975㌔)は長野東が1区で独走状態を築き1時間11分4秒で16連覇。男子(7区間42・195㌔)は佐久長聖が危なげなく26連覇を飾り、長野日大が各県1位校を除く最上位の3位に入りブロック枠で12月22日の全国大会(京都市)出場を決めた。
女子の長野東は「メダル」を狙う全国舞台に向け、収穫を得た。先週の東日本女子駅伝に4人が県代表として出場しレース過密となったことから2週間前の県大会から1年生2人を入れ替えた上で区間配置も変更。アンカーから最長6㌔の1区に抜擢された2年生の田畑陽菜は東日本女子駅伝をスキップしたことで状態も良く、スタート直後から先行する積極的な走りで流れをつくり、存在感を示した。
「都大路で1区を走りたい思いがあった。手ごたえをつかめた」と充実の表情で振り返ると、「チームとして(エースの窪田)舞先輩と(同学年の真柴)愛里を2区以降に置けたらメダルが近づく」と思いをめぐらせた。モデルとしているのが2年前の全国制覇。成長株の名和夏乃子を1区に置けたことでアンカーに回ったエースの村岡美玖で首位に立ち、県勢女子初の栄冠につなげた。
横打史雄監督は「田畑はいい走り。後半の上りに入ってから伸びた」と評価。23日には県縦断駅伝に臨む者も多く、全国に向けどうコンディションを整えていくか。充実度を増すメンバーの最良の布陣が注目される。
男子の長野日大は、京都開催50年を記念して増枠された2015年以来となる3度目の全国切符をつかんだ。ようやく戦力が整い、終始上位を争い、タイムも同じコースだった県大会を2分20秒も短縮。山田憲一監督は感激の涙を流しながら「北信越は思い描いていたオーダーが組めた。それが勝利につながった」と部員たちと握手した。中でも「佑樹が良かった。決めてくれた」と絶賛したのが4区の笠嶋だった。6区で使った県大会の走りを見て「いい動きをしていた」と1,3区と並ぶ主要区間を託すと、区間2位の力走で2位に浮上しライバルの富山商、鯖江(福井)らを引き離した。
走ったのは1,2年生の7人。今年は5年ごとにブロック枠が設けられる記念大会となることから、チャンスを逃すまいと山田監督が声をかけた。その後、今回からブロック枠は毎年に変更となり、昨年の全国大会を現2,3年生で観戦し士気を高めて準備してきた。強豪・川中島中出身の笠嶋は「入学時からの目標。うれしい」と喜びをかみ締めた。
佐久長聖は2位に4分近い大差をつけて連覇を26に伸ばしたが、喜びはなかった。オール3年生の県大会から、主将の浜口大和ら昨年の日本一を経験した主力を含む5人を入れ替え2年生3人も加えた布陣。2時間8分18秒のタイムは県大会より約3分劣り、高見沢勝監督の設定より1分以上も遅かった。そもそもメンバーが出してきた設定は県大会より速かったため、指揮官は「基本的なところに甘さがある。ここからです」と辛口だった。
10日の日体大記録会で5000㍍13分台が5人に達するなど、周囲の評価は高まる一方だが、2年連続全国制覇への道のりは平坦ではない。苦い結果を肥やしに、しっかり足元を見つめて、同校初の偉業に挑む。