野球の第4回県知事杯争奪プロ・アマドリームトーナメントは最終日の30日、長野オリンピックスタジアムで決勝が行われ、西武3軍が7-3でJABA選抜(県野球連盟)を圧倒し、初優勝した。3-4と迫られた5回にリードを広げる右越え本塁打を放った金子功児内野手がMVPに選ばれ、長野市出身の宮沢太成投手も凱旋登板した。中野市営球場で行われた3位決定戦は松本大が10―9でBC信濃に勝った。
▽決勝
JABA選抜
010 020 000―3
310 030 00X―7
西武3軍
【J】井崎、大坪、宮入、大沢、本多、井関―宮川、坂口、原
【西】木瀬、井上、宮沢、狩生―是沢
🉀金子(西)
▽三塁打=樫山(J)川野(西)
▽二塁打=樫山(J)ラマル、ガルシア、金子(西)
故郷のファンのボルテージが上がった。リードを4点に広げた直後の6回、若獅子軍団の背番号117が3番手で登板した。地元、長野市出身の宮沢太成だ。先頭を遊ゴロに仕留めると次打者に中前打を浴びたものの是沢涼輔捕手が二塁盗塁を刺し2死走者なし。この日の最速144㌔を計測した3人目はフルカウントから131㌔のスプリットで見逃し三振で斬った。主導権を渡すことなく無失点で役割を全う。試合後はご当地選手としてインタビューに呼ばれ、「ヒットは打たれたが3人で(ベンチに)帰ってこれた。まずまず。チームは日本一を目指してやっている。戦力になれるように日々頑張っていきたい」と1100人が集まった観客席に向けて力強く語った。
長野高では外野手だったが、チーム事情で2年から投手となった遅咲きの右腕。1年の浪人生活を経て難関・北大に進学すると自ら考えてトレーニングを重ねスケールアップ。野球への興味が膨らみ、留年で大学に籍を残したまま1年勝負で四国の独立リーグ・徳島に挑戦。最速155㌔の本格派として存在感を高め23年ドラフトの5位で西武入りした。だが、制球に苦しみ、1軍登板はなく、わずか1年で戦力外に。それでも育成選手として再契約を結べたことで辛うじてNPBの世界に踏みとどまった。
支配下選手に戻るため、今季は「(ストライク)ゾーン内にしっかり投げ込んでいく」ことを肝に銘じている。フォームの修正に努めながら、150㌔中盤の強いストレートを取り戻し、決め球のスプリットも「どれだけカウントをつくれるか」を課題にしている。2年目だが、4月16日に26歳となるだけに与えられたチャンスで結果を出し続けていくしか道は開けない。高校2年秋以来というオリスタで投じた14球を礎にできるか。
🥎‥JABA選抜の樫山瑠外野手(信越ク)が敢闘賞に輝いた。「5番・右翼」で先発すると5回の右翼線適時三塁打など3安打1打点と気を吐いた。社会人6年目の左打者は、前日の1回戦も3点三塁打を放ち、高いミート力で快打を連発。「楽しんでやれた。みんないい声が出ていて、ベンチワークも素晴らしかった。この気持ちを忘れずにやっていきたい」。シンプルに投手と対決できたことで、勝利を求められる所属チームでは味わえない、野球のだいご味を満喫できた様子。西武3軍の参加で来場者も増え、「去年と違う。すごくいい雰囲気でやれた」と喜んでいた。