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スポ信EX第22回:大輪さんに捧げるジャイアントキリング

2024年8月9日 | お知らせ, スポ信EX

9日、全国高校野球選手権第3日の第1試合で新潟産大付が前評判を覆し、激戦区の埼玉代表・花咲徳栄を2-1と倒した。春夏通じて初めて聖地に乗り込んだ無名校が2017年夏に日本一となった名門校に逆転勝ち。故郷の新潟・柏崎市への強い思いを胸にチームを育ててきた吉野公浩監督にとって、信州工(現東京都市大塩尻)に越境入学した高校時代に指導を受けた監督で今年6月に亡くなった大輪弘之さんに捧げる最高の手向けとなった。

6月、恩師・大輪さんの葬儀の供花者一覧には吉野監督の名も

埼玉大会7試合で長打21本を放った強力打線に2回に1点先行されたが、以降は無失策の堅い守りに支えられた宮田、田中の右腕コンビが追加点を阻止。打線は150㌔近い速球を投げ込んできた相手エースに対し確かな選球眼と粘り強いスイングでプレッシャーをかけ続け、152球も投げさせてスタミナを削り、相手の7本を上回る11安打を浴びせた。機動力も駆使した攻撃で球威の落ちてきた6,7回に1点ずつもぎ取って、V候補を突破。甲子園デビュー戦を飾り、ゆったりとしたワルツの校歌を響かせた。

選手時代は投手だった吉野監督は亜大卒業後、柏崎市の公益財団法人に勤めながら柏崎シニアの監督を13年務め、全国大会に12度導いた。09年夏の甲子園で準優勝した日本文理の中心メンバーも輩出するなど、新潟球界のレベルアップに貢献していたが、地元の野球関係者から「柏崎から甲子園へ」と声がかかった。同市から全国舞台を踏んだのは03年センバツに21世紀枠で出場した柏崎だけ。高校3年間を信州工で過ごしただけに、故郷への思いは強かったのだろう。大輪さんにも背中を押され、16年末に新潟産大付の監督に就任した。

6月15日、恩師が80歳で亡くなると葬儀の前に柏崎から足を運び、別れを惜しんだという。ノーシードから挑んだ7月の新潟大会は、新潟明訓、日本文理、中越の甲子園経験校、さらに決勝で春の北信越王者・帝京長岡も倒して初優勝。甲子園でも我慢の展開を耐えて流れをつかみ、機動力を駆使してチャンスをものにするこれまで通りの戦いで大番狂わせを演じた。新潟勢としても7年ぶりの勝利。厳しいノックで鍛えに鍛えた堅守を礎にしていた大輪さんのチームを思い出した。