第95回都市対抗野球大会第2次予選北信越大会は2日目の8日、富山市民球場で準決勝2試合が行われた。FedEx(塩尻市)は3-2でIMF BANDITS富山(富山市)に逆転サヨナラ勝ちし、初優勝に王手。千曲川クラブ(小諸市)は0-10で伏木海陸運送(高岡市)に敗れた。
9番・河野がFedExを救う激弾
よもやの一撃だった。1-2で迎えた9回2死二塁、9番・河野真大が2球目を右翼芝生席に打ち込んだ。敗色濃厚の瀬戸際で飛び出した逆転サヨナラ勝ちを呼ぶ2点本塁打。歓喜の輪に包まれたヒーローは「何を打ったのか覚えていない。入るとは思わなかった」。8回2死二塁の守備では右翼手として二塁手と自身の間に飛んだフライを適時打とし、「目の前に落とした。自分のせいで負けたくなかった」と燃えていた4打席目だった。横浜隼人、国士館大を経て加入1年目。守備力を評価して起用した片山祐介監督は「つながることを求めていた。まさか。(ミスを)取り返せるのが野球。彼のお陰です」と興奮を隠せなかった。第1次予選県大会は3位通過だったが前日7日の1回戦で県1位の信越クを6-3と撃破し、この日は劇的白星だ。勢いを加速して挑む決勝の相手はまたも富山勢の伏木海陸運送。敵地で1998年の結成以来初の東京ドーム切符をつかみ獲る!
▽準決勝
IMF BANDITS富山
000 000 110-2
000 000 012ⅹ-3
FedEx
B 五味-須藤
F 野口、山登、小林、金井-釣谷
🉀河野(F)
千曲川クは完敗をバネにクラブ選手権予選に向かう
立ち上がりから劣勢に回った苦しい展開で、戻ってきた左腕が必死に伏木海陸運送打線に立ち向かった。0-4とされなお3回2死一、三塁。2番手で登板した名取泰誠は一人目に死球を与えて満塁としたが2人目は一ゴロで切り抜けた。だが、4回は1失点とリードを広げられ、「流れを変えなきゃいけないところだった。うまくいかなかった。相手が上だった」と2回三分の一1失点の投球を振り返った。
東海大三(現東海大諏訪)、BC信濃を経て21年から2季に渡って先発、救援で活躍も、「気持ちがドキドキしなくなった。もう熱がないのかな」と退団。昨季は勤務先の軟式野球部でプレーしていたが、9月に新潟県で開催された全日本クラブ野球選手権が転機となった。インターネットの速報で古巣の戦いをチェックしていると、準々決勝でその前年に自身が先発して敗れたV候補・大和高田クに雪辱したのだ。「感動」して、佐久市から三条市の球場まで車を飛ばしその日の午後の準決勝を観戦。「こいつらかっこいいな」と血が騒ぎ、復帰を決めた。
都市対抗は逃したが落ち込んでいる時間はない。22、23日には全日本クラブ野球選手権第2次予選北信越大会が石川県で開催されるのだ。「クラブ選手権は優勝しかないです」。この日突き切れなかった内角をどう攻めるか。経験豊富な27歳は、クラブ日本一に向かって悔しい結果を肥やしにする。
▽準決勝
伏木海陸運送
301 100 014-10
000 000 000-0
千曲川ク
伏 西納、高橋-幸明
千 井関、名取、本多、井崎、和田-永田皓