9日、横浜市で開催されたカーリング日本選手権最終日の男子決勝でSC軽井沢クがロコ・ソラーレを7-5と下し、2年ぶりの頂点に立った。
優勝しなければ1年後のミラノ・コルティナ冬季五輪への道が閉ざされる大勝負。平均年齢21・8歳と若い北海道・常呂のチームに序盤から押され、築いた好機もダブルテークアウトを連発されて我慢の展開となったが、息の合った石の運びから軽井沢中カーリング部出身のフォース柳沢李空(23)の好ショットで粘り強くしのぎ続けた。第7エンドに初めての複数得点となる2点を奪って5-5と追いつくと、不利な先攻の第9エンドに1点を入れ6―5とリード。先攻のまま迎えた最終第10エンドも流れを渡さず有利な形をつくって重圧をかけ続けると、メジャー計測の末にもう1点を追加した。最後の一投、しかも数センチ差で勝敗が決まる、これぞカーリングの大熱戦を制して王座奪還。夢舞台への望みをつないだ4人の男たちは涙しながら叫び抱き合って喜びを爆発させた。
2018年平昌五輪で8位入賞の歴史を持つ。だが、日本男子20年ぶり五輪出場を果たした後、チームは解散状態となり、ただ一人残ったサード山口剛史(40)を軸に再出発。教員を辞めて夢にかけたリード小泉聡(37)、下部組織出身のセカンド山本遵(18)を合わせた現在の顔ぶれに固まると22、23年に日本一。3連覇を狙った前回は準優勝に終わると、今季はなかなか調子が上がらなかったが、司令塔役のスキップを柳沢から山口に変える思い切った策で柳沢の負担が減り、結束度もアップ。昨年末の軽井沢国際準優勝で弾みをつけると、初の首都圏&アリーナ会場、2000人の歓声に包まれた横浜BUNTAIで主役となった。
山口は「みんなを、自分を信じてやろうと思っていた。それができた。すごいチームになった。ファイヤーしました」と絶叫した。次なる戦いは3月末、日本の五輪切符獲得に挑む世界選手権(カナダ)。さらに9月、コンサドーレとの一騎打ちとなった日本代表決定戦が待ち受ける。98年長野五輪でカーリング会場となった軽井沢で根付いた「氷上のチェス」。申し子たちが集うSC軽井沢クは女子、混合も敵地・北海道で日の丸をつかみにいく。