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スポ信EX:東北大⚾植木3冠締め

2024年11月25日 | お知らせ, スポ信EX

 2024年に最も輝きを放った県関係のアマチュア野球選手は、東北大の植木祐樹外野手だ。長野吉田出身の4年生は仙台六大学リーグで今春に首位打者(最高打撃賞)とベストナインに選ばれた。今秋も打率・441と快音を響かせ続け19年ぶりの2季連続首位打者、さらに11打点で最多打点賞も獲得して再びベストナインに名を連ね、学生最後のシーズンを3冠で締めくくった。

笑顔で獲得した3冠を掲げる植木(本人提供)

 学生野球を味わいつくした。植木は屈指の難関国立大の経済学部で学びながら、東北福祉大、仙台大などの強豪を相手に白球を追い続け、自身ラストシーズンとなった今秋のリーグ戦で最高の成績を残した。常に意識していたのは「チームに貢献したい」だった。3年秋から主力となった左打者は今春に東北大生として10年ぶりの首位打者に輝くも「勝ちに結びついていなかった」と5位にとどまったチーム成績が悔しかった。そのために取り組んだのが「打点を稼ぐ」で、チャンスでのタイムリーヒットに加え、外野フライも意識。「いろんな引き出しが増え、技術的にも進歩した」と状況ごとの打撃に手応えを得てシーズンインした。

 当初はチーム事情で1番を打ち、途中から本来の3番に復帰。「春より調子がいい人が多く(相手が)勝負してくれる雰囲気になった」こともプラスに働いた。

 高校3年時はコロナ禍で夏の甲子園が中止となり、「不完全燃焼」のもどかしさをぶつけた仙台での日々。その際に役立ったのが高校時代の選手主導の活動で身に着けた自ら考える姿勢だった。威力が上がる大学生の投球を攻略するため、読みを磨き、体づくりに励んだ。スポーツジムでのインストラクターのアルバイトは焼き肉店と掛け持ち。ボディビル部の門も叩き、「リーグで一番筋トレしている自信があった」。集大成のシーズンは、奇しくも春と同じ34打数15安打だったが内容は違った。打点は2⇒11、犠飛は0⇒3、本塁打は0⇒1。さらに陸上部に走り方を学んだ成果で盗塁も1⇒3に増えた。一塁まで3秒67。速さと勝負強さを兼ね備えた安打製造機に成長を遂げ、チームの4位浮上に貢献した。

 一時は「育成ならチャンスあるかな」とプロ志望も脳裏に浮かんだが、野球は今秋限りで区切りをつける。一般企業に内定し、来春からは関西に住む予定。「今はしばらく(野球は)いいかな。いろいろできて楽しかった。やり切った感はあります」。小中とも握っていたのは軟球。高校は地元の公立進学校でごく一般的な地方都市の球児だった植木が貫いた文武両道。杜の都で獲得した3冠はあくなき工夫と努力と勝利への執念の結晶だった。