13日に愛媛県松山市ほかで開幕する第49回全日本クラブ野球選手権に千曲川ク(小諸市)が6大会連続で出場する。16チームが参加する4日間のトーナメントで目指すのは、過去2度の準優勝を上回る初の頂点。優勝経験を持つ難敵が待ち受ける序盤戦を突破して勢いに乗れるかがポイントとなる。
1回戦の全足利ク(栃木)は3大会ぶり40度目の出場で11度の優勝を誇るクラブチームの雄。21年の決勝で対戦し2-3と惜しくも敗れている。今季は5月のJABA新潟大会で顔を合わせ、初回に失った2点を返せず、0-2と敗れた。雪辱を果たせれば次の準々決勝は、大和高田ク(奈良)との対戦が濃厚。11大会連続23度目の出場で5度優勝している強豪だが、23年の準々決勝では2-1と倒している。
苦い敗戦を肥やしに磨いてきた戦い方で勝ち抜きたい。ターニングポイントとなったのが6月1日の信越クとの都市対抗1次予選県第1代表決定戦。序盤から投手陣が複数失点を重ねると打線も沈黙し、0-16の7回コールドで大敗を喫した。4週間後の都市対抗2次予選では、1回戦で8-9と敗れたもののIMF・BANDITS富山と延長10回タイブレークの激闘を演じ、平林監督は「全然別のチーム」とナインの変化を認めた。
昨年の中軸が抜けた打線はパンチ力がなくなった。だが、関、鈴木、圀府寺、花岡、長島と続く今年の打線には走力とコンタクト力があった。屈辱的スコアに「本気」となったナインは、ストロングポイントを生かし、とにかく走者を先に進めることに意識を統一。バント、盗塁、エンドランを絡めながら1点ずつ重ねるスタイルに活路を見出した。8月9、14日のクラブ選手権2次予選では、低めにボールを集める和田、三石、本多ら投手陣ともかみ合い、3戦合計34得点1失点で危なげなく10度目の代表切符をつかみ獲った。
平林監督は「仕上がりはいいです。それぞれがそれなりに仕事をしてくれれば。一戦一戦行くしかない」と目の前の戦いに集中を期す。故障者続出で手薄さを増した内野陣に不安要素は残るが、精度を上げてきた25年のスタイルで、覇者に与えられる日本選手権出場切符をつかむため野球王国愛媛で旋風を巻き起こす!
(スポーツライター・高地浩志)